街のチンピラがバイリンガルになるまで①
私が20代に差し掛かる頃、インターネットが普及して情報を得やすくなったり、円高だったりで、敷居が高かった留学がとても身近になった。
私もネットで調べた留学エージェントを介し、30人くらいの日本人グループと渡米し、アメリカの語学学校に入学したのだった。
語学学校のクラスは英語のレベルで6段階に分けられる。共に入学した30人のグループは、みんな中下層のレベル2~4に振り分けられた。
「前から在籍してる日本人が言ってたんだけど、実際の1番下はレベル2で、レベル1は存在しないらしいよ。あなたが1番下じゃないよって安心させるために、1があるように見せかけてるんだって。」
「なんだそれ都市伝説かよ。」
そんな会話が聞こえてきた。
私のレベルは1だった。
恥ずかしかったし、ショックだった。
クラスメートは10名程度。つまり200名ほど在籍していた語学学校のワースト10だ。
ほとんどが中東系。ベトナム人が少々。日本人は私だけ。
高校は出てるのでアルファベットはわかる、自己紹介程度の単文はできる。そんな感じの人が集まるクラス。
全員レベルが低すぎるため、クラスメート同士で英語のコミュニケーションがまったく取れない、笑うしかない状況。
そんな語学学校で1年近くを過ごし、共に渡米した日本人グループは6段階中レベル3~5に上がっていた。
私は学内最高のレベル6にいた。
30人全員をぶち抜いて飛び級していたのだった。