アメリカのホテルで働く【課題】
アメリカの大学に通っていた頃、経営学の授業で、学期中に3回しか登校しないクラスがあった。
いわゆる職業実習のクラスで、職種を問わず、『自分の職場に新たな価値を付加する事』が課題。
初回にクラスの趣旨を説明され、2回目で中間報告、学期末で論文を提出してプレゼンテーションをする。
まずは初回の集まりから2週間以内に仕事を見つける必要があり、私はビーチに近いホテルで働く事にした。
メインの仕事はフロントデスクで接客。一番下っ端なので、ベッドメイキングを手伝ったり、荷物を運んだり、雑用をしながら、職場における問題点を探したり、新たな価値を探していく。
ホテルにはメキシコ料理のレストランがあり、休憩時間はビザがあるかも不明なメキシコ人達とまかないを一緒に食べていた。
まかないではレストランにあるメニューを1つ選んで注文できるのだが、アメリカのレストランメニューは文字だけで料理を説明されている事が普通で、写真が載っていない事が多い。なのでどんな料理かイメージしにくい。
加えてメキシコ料理なので、もっとわからず、「トスターダってなに?」「ディアブロチキンってどんな料理?」とシェフに質問しながらまかない料理をいただいていた。
そのホテルは日本向けにも広告を出していたので、日本人の宿泊客もちょこちょこ来ていたので、きっとお客様も、どんな料理かイメージが湧かず、不便を感じているのではないか。せっかくおいしいのに。
そう思い、全料理の写真を差し込んだ、日本語のレストランメニューを作成した。日本語が読めない外国人観光客も、写真があればきっと料理のイメージもつくだろう。
これがお客様に好評で、大学でも教授にそこそこ褒めてもらえた。
日本人である、という何でもない事が、職場では「唯一」だった。
当たり前と思っている事が、実は他の常識と違う点かもしれないし、違いこそ強みになるのかもしれない。
経営者になった今、自分がやっている事はきっとアメリカでの経験が地盤になっていると思う。