再会、変わらない仲間と変わった私
中学の同級生が亡くなり、明日が通夜らしい。そんな訃報をきいたのは、私が26歳の頃。もう10年近く前だ。
中学時代、夜中の公園で友人と集まってタバコをふかし、着地点のない話をしていた。周りからは不良と蔑まれていたかも知れないが、自分たちの中ではキラキラしていた青春。そんな時代を同じグループで共にした友人だった。
私はアメリカに留学し、いつしかグループとも疎遠になり、彼と最後いつ会ったのかも思い出せない。
通夜で久しぶりに再会した動かない彼の首には和彫りの入れ墨が入っていた。
ヒソヒソと、「薬やってたらしいよ」と声が聞こえた。きっと彼は「不良」と呼ばれたまま大人になったんだろう。
通夜をキッカケというのも悲しい話だが、かつての仲間たちと集まって久しぶりに話をした。亡くなった友人を楽しく『俺達流』で送ろうと、場所を変えて飲みながら話す。
酔っぱらってキャバクラで暴れまわった話、先輩の話、生意気な奴を追いかけた話、そういえば中学時代も夜中まで公園でタバコをふかして、こんなバカ話をずっとして、腹が痛くなるまで笑ったっけ。
別々の道を進んだ友達が集まって、昔と変わらない話で盛り上がる。そんな美しい場面を思い浮かべる歌やドラマのシーンがよくある。
変わらない仲間、変わらないバカ話、ただ一つ変わったのは、自分が無理をして引きつった笑顔をしていた事。
「かわいそうだなサラリーマンって。」
「毎日死んだような目して満員電車乗ってんだろ。俺電車無理だわ。」
「俺はムカつくと上司でも殴っちゃうから、人の下で働くのは無理だわ。」
「いつかは自分の店もちてーんだよな。」
そんな言葉をぎこちない笑顔できいていた。
確かに俺はサラリーマンで、毎日満員電車はきついよ。お前らの言う通り、上司や取引先に頭下げてばっかりで、ぶん殴りたいほど罵倒されても笑顔を作ってるよ。
でもさ、俺は海外の大学を卒業して、上場企業に就職して、一般的には成功者に見えるはずなんだ。
悔しいけど頭下げながら、皆の期待に応えたいから頑張ってるんだよ。
お前らは何もしないで夢ばっか語ってるけどさ、スキルも無いやつが独立して何ができんだよ。経営数字見れんのかよ。店を出すなら資金繰りや具体的な計画は立ててんのかよ。
久しぶりの地元の仲間たちは、今もあの頃のまま色あせない。1つ上の先輩に頭を下げ、1つ下の後輩に頭を下げさせる。そんな中学時代と変わらない小さな社会に、私の居場所はもうなかった。
居酒屋でタバコの匂いがついた喪服をクリーニングに出した。夜の空に吹き出すタバコの煙が好きだった。タバコをやめてからは、服につく煙の匂いが嫌いになった。変わらない仲間。変わった私。特に誰が悪いとかはないが、そこにキラキラしたままの絆などない事は確かだった。
その後、中学時代のかつての仲間とは10年近く会っていない。